断罪の鐘で永遠を誓う ~かつて攫われた王妃候補は、最愛の誘拐犯に会いに行く~
 景色も相まって、彼の言葉がまるで演劇のセリフのように聞こえた。

 すぐに答えられずにいると彼は小さく笑った。

「無理に俺を選ぶことはねぇよ。でも…そうだな、俺を選ぶなら絶対に後悔はさせない。少なくとも、今より人生を楽しませてやるよ」
「わ、我が儘言っていいの…?」
「当たり前だ。なんなら、我が儘すぎて俺が困るぐらいになってみせろ」

 本当に信じていいのだろうか。

 …いや、信じたい。

 だって私は今この瞬間、初めて自分の意思で何かを選ぶことができるのだから。私の意見を聞いてくれたのは、彼が初めてだ。

「私……、あなたについて行ってみたい」

 震える声で私がそう答えると、彼は満面の笑みを浮かべてくれた。

 窓枠に乗り、差し出された手をそっと取る。彼は私の手を強く握ると思い切り引き、危なげなく私を抱き留めた。

「そうと決まれば、さっさと行くぞ。ちゃんと手袋しておけよ」
「うん!」

 彼は私を抱き上げたまま、迷うことなく雪の上を走り出した。
 後ろを振り返ると雪に残る足跡は彼のものだけだ。その足跡すらも強まる雪でどんどん薄くなっていく。

「あ、そういえば自己紹介してなかったな」
「!名前、知りたい」
「俺の名前はラドルだ。よろしく頼むぜ、お嬢ちゃん」
「お嬢ちゃんじゃない。私の名前は、エレナ・フェルギラだよ」
「そうかそうか。じゃあエレナ、よろしくな」
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