断罪の鐘で永遠を誓う ~かつて攫われた王妃候補は、最愛の誘拐犯に会いに行く~
 それから、ラドルは沢山のことを教えてくれた。

 楽しいことは勿論、喜怒哀楽だけでは収まりきらない感情も。ラドルが教えてくれたことは全て、私にとっての宝物だ。

「エレナ、お前のやりたいことはなんだ?」

 そんな日々を過ごして1年と少しが経ったある夜、寝る前にラドルからそう問われた。すぐに答えることが出来ずにいると、ラドルは怒るでもなくただ答えを待ってくれた。

  私のやりたいこと…。

  …叶えたいことならある。

「わ、私は……__たい」
「ん?」
「ラドルに、愛されたい」

 ベッドに腰かけて話を聞いてくれた彼は優しく頭を撫でてくれた。

「愛してるよ」
「違う」
「何も違わないだろ」
「私は、私は…、ラドルのことが恋愛感情で好きだよ。ラドルが思ってるよりも、ずっと愛してる」

 きっと惚れたのは、私を誘拐してくれたあの雪の日。今まで人を好きになったことが無かったから、なかなか自覚できなかったが、一度理解してしまえば、その気持ちは大きくなる一方だった。

「俺が楽しいことを教えたからだろ。あの環境から連れ出したのが俺だったから、勘違いしてるだけだ」
「そんなことな、」
「でも、気持ちは嬉しいよ。ありがとな」

 もう寝ろ、と目元を手で覆われる。でも、今日だけは彼の言うことを聞きたくなかった。彼の手を掴んで体を起こす。

「『俺を困らせるぐらい我が儘になれ』って言ったでしょ」

 掴んだままの彼の手に擦り寄る。ラドルは振り払うことはなく、天井を見上げて大きくため息をついた。

「確かに言ったが……そもそもな、お前の感情を否定したいわけじゃないんだ。認めた上でだな、」
「ねぇ、私どうすればいい?」
「エレナ、」
「私、ラドルのことが本当に好きなんだよ」

 彼の胸に顔を埋めてそう言うと、彼は私の体をそっと抱きしめてくれた。
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