断罪の鐘で永遠を誓う ~かつて攫われた王妃候補は、最愛の誘拐犯に会いに行く~

望まぬ愛なんてクソくらえ

 思い出に浸りながら、城の中庭を眺める。
 今日も今日とて、王太子の要望によりお茶会をしに来たわけなのだが、どうにも心が動かされない。これ以上、余計な情報を入れたくなくて、目を閉じる。

「あの人が『訳あり令嬢』よ」

 少しすると、私が寝ていると思っているのか、ヒソヒソと噂話をする声が聞こえてくる。

「誘拐されたショックで心が壊れてしまわれた、という噂は本当なの?」
「本当らしいわよ。何でも、誘拐犯のことを今でも恋い慕っているとか」

 不愉快極まりない噂話に、目を閉じたまま眉間に皺を寄せてしまう。

 心が壊れたショック?

 私がラドルを好きになったきっかけは、そんなものではない。
 小さくため息を吐いた時、応接間の扉が壊れてしまうのではないかと思うほど、強く開かれた。

「何をやっている」
「お、王太子様…」
「随分と面白そうな話をしていたようだがまさかエレナの話ではないだろうな?」

 目を閉じていても感じる圧と数人の悲鳴が聞こえ、すぐにバタバタと退室する音が聞こえた。

 完全に目を開けるタイミングを見失うと同時に、このまま寝落ちたと勘違いしてお茶会を諦めてくれないかな、なんて淡い希望を持つ。

「エレナ」
「……」
「疲れて寝てしまったのか。本当は起きて欲しいけれど、エレナが落ち着いて寝られるなら、それでいい」

 そんな言葉が聞こえると同時に、扉が開いた音が聞こえた。
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