転生した俺、英雄になる

第4話

レックス「ペア?」

騎士長「そうだ。前線での戦闘は危険が多すぎる。ペアを組むのが望ましい。取り敢えずはくじで決める。」

 即席のくじを皆で引く。正直誰でもよかった。そりゃシアと組みたい気持ちもあるにはあるが、まぁ贅沢は言ってられないな。
 くじには、一つ先輩の騎士の名前があった。

レックス「バーザさんか。」
 
 くじに書いてあったペアに会いに行く。

レックス「よろしくお願いしますね。バーザさん。」

バーザ「…レックスか!やはりペアが知人だと少し嬉しいな。」

 バーザさんは俺の騎士学校時代の先輩だ。何度か手合わせもした。模擬戦は俺が全勝した。フフン。

バーザ「にしても頼りになるな!よろしくなレックス!」

レックス「はい!よろしくバーザさん。」

 熱血が服着て歩いて戦うバーザさんは、いつも暑苦しい。誇りだの何だのと言った話をしている。
 俺が騎士学校のテストで赤点ギリギリで落ち込んでいた時に、バーザさんの話を聞いて元気をもらった。偶にはこういうポジティブな人間も悪くないと思った。 
 いつも暑苦しいが、まぁ実力は確か。


バーザ「レックス!あちらのプライドを追うぞ!ついて来い!」

レックス「わかりました!」

 先輩なので、取り敢えずは指示を貰うことにした。強力な化け物との戦闘は始めてなので、経験者の意見を聞くというわけだ。

レックス「あのプライド…やけにデカくないですか?」

バーザ「デカいな。合わせるぞ!」

レックス「はい!」

 対象のプライドは剣を構えてこちらに突撃してきた。風を切る音でその威力が凄まじいものとわかる。
 プライドの倒し方としては、壁に攻撃させて剣を折るというものもある。

 近くにあったデカい岩塊の近くまで、バーザさんと共にプライドをおびき寄せる。

 バーザさんは岩塊を背に立っている。

レックス「そっちにプライドが行きます!バーザさん避ける準備をしてください!」

 バーザさんが避けようとした時、別のプライドが横から突撃してきた。

バーザ「なっ!」

 バーザさんがプライドの不意打ちでひるんだところに、デカいプライドの突進がもろに直撃する。
 凄まじい音と共に背後にあった岩が崩れていく。
 デカいプライドはそのまま剣が折れたのか、消えてしまった。

レックス「バーザさん!」

 プライドの弱点は…剣!

 横槍を入れてきたプライドの構えている剣を横から攻撃し、剣をへし折った。
 消えるプライドを無視してバーザさんに近寄る。

バーザ「ハハッ。俺も警戒不足だな。…レックス、これを。」

 バーザさんが、ポケットから紙片を取り出す。
 
バーザ「遺書だ。…俺も生き残る覚悟が出来ていなかったんだよ。母親に渡してくれ。頼む。」

 目が白く濁る。
 半身が吹き飛んだバーザさんの遺体。

 改めて実感する。

 ──ここは戦場だと。
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