勇者に婚約破棄された魔女は、魔王に婚約を申し込みに行きました。 ~かつて最恐と呼ばれた魔女の封印は、無知な勇者が解きました~
「ほら、私、結構仕事できるでしょう?」
「そうだな。本当に助かっている」
「魔力もありますし、戦いにも向いていますよ。結構、好物件だとは思うんですけど~…?」
「確かに、文句のつけようがないが…」

 魔王がそう言うと、ジアンナは顔を輝かせた。

「そうでしょう!だから、もういい加減、婚約してくださってもいいんじゃないですか?」
「尚更、俺じゃなくていいだろ」
「も~!!そうじゃないです!私が求めている返事は、それじゃないんですよ!!」
 
「あの~、お二人さん?」

 見かねたハンツが声をかける。2人は言い合いをやめて、彼を見た。

「気分転換に、散歩をしてきてはいかがですか?幸い、今日は1時間ほど休憩を入れても、問題ない量の書類ですし」
「…魔王様も連れ出しますよ」
「むしろ、お願いします」

 突然巻き込まれた魔王は、鋭い眼光でハンツを見る。
 
「おい、勝手に決めるな」
「魔王様。部下の様子をご自身の目で見つめるのも、上司としての仕事ですよ。この部屋には僕がいるので、ご安心ください」
「はぁ…分かった」

 ハンツの言葉に、魔王は観念したようにため息をついた。

「はぁ……わかった。1時間だけだぞ」
「はーい!ハンツさん、行ってきます!」
「はい。いってらっしゃい」

 ジアンナは魔王の手をさり気なく引き、弾むような足取りで部屋を出て行った。
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