完璧すぎる淑女は「可愛げがない」という理由で婚約破棄されました。 ~元聖女ですが、古代魔術まで極めてみました~
過去には『神が愛した華』とまで称された彼女。完璧な淑女であったときは見せなかった素の表情に、アルベルトは言葉を詰まらせた。
「きっと王都は大混乱。新たな聖女としてリリアーナは、とんでもない期待を向けられている」
「……エメラルダ。君はあの王子や、新たな聖女のことを恨んでいないのか?」
「恨む…?どうして?」
エメラルダは、本心から首を傾げた。皆目見当つかないといった様子に、アルベルトは驚きつつも、ふっと笑った。
「ははっ、そうだった。君はそういう人だった」
「…馬鹿にした?」
「いやいや、褒めたんだよ。本当、生粋の聖女だな」
エメラルダは不満げに唇を尖らすも、程なくして祈るように手を組んだ。風が流れる。そして、風が止むとエメラルダの身体から温かな光が漏れ出した。絹糸のような繊細な光と淡い緑の奇跡の光。それらは何かに導かれるように折り合った。
「エメラルダ・ヴァインベルクが祈ります。この土地に、正しい加護とあるべき平穏を」
その言葉に応えるように、一瞬全ての音が消える。唯一聞こえるのは、軽やかなベル。そして気が付くと、辺境伯領には美しい強固な結界が張られていた。
「すごいな…」
「結界が見えるの?」
「うっすらとだが、綺麗な紋が浮かんでいるのが見える」
予想外の言葉に、エメラルダは驚いた。結界が見える人は相当限られている。聖女の才を持つものか、余程魔術に長けた人か。きっと後者だろうが、それにしても…
そこまでエメラルダが考えた時、アルベルトは覚悟を決めたように口を開いた。
「俺は市民に国を出ないように通知を出しておく。明日の早朝に立とう。そのための準備を済ませておいてくれないか?」
「え、っと…まさか、アルベルトも王都に来るの!?」
「違うのか?俺はてっきり最初から着いていくものかと思っていたんだが」
心外だ、とでも言いたげなアルベルトの表情に、エメラルダは嬉しそうに頬を緩める。
戦地にもなりかねない場所だというのに、一緒に来てくれるのか。そんなに嬉しいことはない。
「ぜひ、来てほしいわ。準備しておくわね」
「ああ、頼んだ」
そんな言葉と共に、2人は屋敷に戻って準備を始めた。
「きっと王都は大混乱。新たな聖女としてリリアーナは、とんでもない期待を向けられている」
「……エメラルダ。君はあの王子や、新たな聖女のことを恨んでいないのか?」
「恨む…?どうして?」
エメラルダは、本心から首を傾げた。皆目見当つかないといった様子に、アルベルトは驚きつつも、ふっと笑った。
「ははっ、そうだった。君はそういう人だった」
「…馬鹿にした?」
「いやいや、褒めたんだよ。本当、生粋の聖女だな」
エメラルダは不満げに唇を尖らすも、程なくして祈るように手を組んだ。風が流れる。そして、風が止むとエメラルダの身体から温かな光が漏れ出した。絹糸のような繊細な光と淡い緑の奇跡の光。それらは何かに導かれるように折り合った。
「エメラルダ・ヴァインベルクが祈ります。この土地に、正しい加護とあるべき平穏を」
その言葉に応えるように、一瞬全ての音が消える。唯一聞こえるのは、軽やかなベル。そして気が付くと、辺境伯領には美しい強固な結界が張られていた。
「すごいな…」
「結界が見えるの?」
「うっすらとだが、綺麗な紋が浮かんでいるのが見える」
予想外の言葉に、エメラルダは驚いた。結界が見える人は相当限られている。聖女の才を持つものか、余程魔術に長けた人か。きっと後者だろうが、それにしても…
そこまでエメラルダが考えた時、アルベルトは覚悟を決めたように口を開いた。
「俺は市民に国を出ないように通知を出しておく。明日の早朝に立とう。そのための準備を済ませておいてくれないか?」
「え、っと…まさか、アルベルトも王都に来るの!?」
「違うのか?俺はてっきり最初から着いていくものかと思っていたんだが」
心外だ、とでも言いたげなアルベルトの表情に、エメラルダは嬉しそうに頬を緩める。
戦地にもなりかねない場所だというのに、一緒に来てくれるのか。そんなに嬉しいことはない。
「ぜひ、来てほしいわ。準備しておくわね」
「ああ、頼んだ」
そんな言葉と共に、2人は屋敷に戻って準備を始めた。