蒼へ沈む
4.5 toya side
シーツの上に横たわる彼女の肌は、どこにも欠損のない、滑らかで完璧な造形をしていた。俺の不完全で醜い身体とは、あまりにも違って。
……そんな卑屈な想いは、かろうじて奥歯を噛み締めて呑み込んだ。
ベッドの端には、外された左脚の義足が冷たく転がっている。
隠しようのない、膝から下の決定的な喪失。
生々しい傷跡が残る、グロテスクと思われても仕方のないこの切断面を見せつけられて、彼女が女として俺に欲情することなんて、本当はないんじゃないか。
贖罪や同情だけで身体を差し出そうとしているなら、絶対にこの先へは進めない。
……もし、彼女の瞳に少しでも戸惑いや嫌悪、あるいは憐憫の情が浮かんだら、その時は自分から手を引こうと、本気で考えていた。
けれど。
恐る恐る伸ばした指先で、布に覆われていた彼女の柔らかな身体の中心に沿わせた瞬間。
びく、と小さく跳ねたそこが、嘘のつけない熱を持って濡れそぼっていることが分かって――俺は、泣きたくなるほど酷く安心したのだ。
俺の欠落した身体ごと、彼女は、俺という男を欲してくれている。
俺の脚を奪った罪悪感からでも、医者としての献身からでもなく、ただ一人の女として。
「……っ、燈、矢……」
熱を帯びた甘い吐息が、俺の名前を呼ぶ。
ずっと奥底に張り詰めていた恐怖と諦念が、音を立てて溶け落ちていくのを感じた。
俺はもう逃げ道を探すのをやめて、祈るような気持ちで、彼女の震える背中に強く腕を回した。