蒼へ沈む







「……夏菜の中、すごく暖かくて……気持ちいい」

掠れた声とともに深く息を吐き出すと、彼女の細い腕が、俺の汗ばんだ背中にぎゅっと回された。
俺の不完全な身体を、欠落した過去ごとすべて受け入れてくれた。その事実だけでも、本当は声を出して涙が溢れそうになるほどに満たされていた。

だからこそ、俺は少しでも彼女に快楽を与えたかった。自分の欲を満たすだけでなく、この15年分の狂おしい熱にどうしても応えたかったのだ。

シーツに手をつき、歯を食いしばって、ゆっくりと彼女の柔らかな内側を探るように律動を繰り返す。

けれど。左脚という『支え』がない状態で身体を動かすのは、想像以上に過酷だった。
無意識のうちに右脚と両腕だけで全身のバランスを取ろうとするため、普段使わない体幹の筋肉に過度な負荷がかかり、俺の身体はすぐに限界の悲鳴を上げ始めた。

ふくらはぎの筋肉が引きつり、額から滲んだ汗がポツリと彼女の鎖骨に落ちる。

どうしても不自然に力んでしまう身体の強張りに、俺は情けなさと悔しさで唇を噛んだ。

「……ごめん。やっぱ少し……体勢、きついな……」

堪えきれずに動きを止め、荒い息をつきながら彼女の肩口に顔を埋める。

男としての不甲斐なさに押し潰されそうになった俺の耳に、ひどく甘くて優しい声が降ってきた。

「無理、しないで」

非難の色など微塵もない。彼女は愛おしいものに触れるように、俺の首筋に腕を絡ませて柔らかく微笑んでいた。

あぁ、この女の前ではもう、強がる必要なんて何一つないのだ。

「ううん。体勢……少し、変えていいかな」

俺は彼女の熱を帯びた額にそっと口付けると、自分の不器用な身体を預けるようにして、二人でゆっくりとシーツの上を転がった。


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