蒼へ沈む
女を抱いたのなんて、一体何年振りだっただろうか。
他人の前で、俺の一番隠したかった部分である義足を外して、この無惨な切断面を晒したことなど、もう思い出せないほどずっと前のことだ。
正直に言えば。俺がずっと恐れていた通り、多分、すべてがぎこちなくて、決して「上手く」なんて抱けなかったと思う。
失った左脚で身体を支えるバランスは酷く不格好で、長年の空白と彼女への渇望のせいで、大人の男としての余裕なんて欠片もなくて。ただ感情と本能に急かされるまま、必死に彼女にすがりつくことしかできなかった。
けれど、彼女はそんな俺の不器用さも、情けなさも、すべてを慈しむように甘く受け入れてくれた。
背中に回された細い腕の熱と、俺を求めて甘く泣き濡れる声が、俺のちっぽけなプライドや劣等感を、根底から優しく溶かしていく。
「……夏菜……っ、なつな……」
これが残酷な夢ではないと何度も確かめるように、熱に浮かされた頭で、狂おしく彼女の名前を繰り返し呼び続けた。
彼女の身体の一番奥深くまで自分の存在を刻み込み、やがて、15年間溜め込み続けたすべての想いと絶望を吐き出すように、堰を切ったように果てた。
「……っ、ふ……」
激しい息を吐きながら、汗ばんだ彼女の華奢な肩にゆっくりと顔を埋める。
外ではまだ、嵐が狂ったように窓を叩いているというのに。腕の中にある体温は、恐ろしいほど温かくて、穏やかだった。
15年間。どれだけ目を背けようとしても、どれだけ自分には資格がないと言い聞かせても、心のずっと奥底で、焦がれるほどに望み続けていた瞬間。
これまでのどんな後悔も惨めさも完全に塗り潰してしまうほどの、言いようのない圧倒的な『幸福』に満たされていた。