借金令嬢は異世界でカフェを開きます

  ***

 夜。
 閉店の札を下げた店のテーブルで、昨日同様グレースを食事に付き合わせたオズワルドが、「これがそのクリームですか」と、皿の上を見つめた。

 またも閉店間際に来店した彼は、申し訳なさそうに、それでいて断らないでほしいという目で、「しばらくの間でいいんです。一緒に食事をしてください」とグレースに頼んだのだ。


「仕事……、そう、仕事だと思ってくださって構いません。なので料金は支払います。もちろん明日からはモリーさんも一緒に! ――昨日一緒に食事をしてもらったことで、色々、その……。そう! 助かったんですよ!」

 いったいなんのことやらと思ったが、彼の話を総合して考えた結果、

(閉店後の店という特殊な環境が、オズワルドさんのストレス軽減に役に立ったということかな? いつも忙しそうだものね)

 と理解したグレースは、はにかみながらもそれに了承した。

(こんな風に、しどろもどろになったオズワルドさんなんてレアすぎるわ。どうしましょ。男の方なのに可愛すぎる)

 仕事ということで承知したため、自分の食事も余りものというわけにはいかず、グレースの分も店で出すものと同じものを用意した。ただし料金は受け取らず、かわりに相談に乗ってほしいとグレースからもお願いをすることにした。
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