借金令嬢は異世界でカフェを開きます
「オズワルドさん、面白いですか?」
「ええ。あんなにおいしいコーヒーを、どんなふうに入れているのか興味があったんですよ。普段はさすがにのぞき込めませんからね」
当たり前のようにテーブル席にしかつかないオズワルドは、それだけで庶民よりは上の身分だと分かる。先生という立場を考えても、どこかの貴族の末っ子とか、そんな感じかもしれない。
二人分入れたコーヒーをもって再び席に着くと、彼にケーキを勧めた。
「ん、おいしいですね。ケーキだけでもおいしいけど、クリームがつくとさらにおいしくなる。普通の生クリームよりさっぱりしてるけど、特に問題はないように見えますね」
彼の答えにほっと息をついたグレースは、「そうなんですよね」と同意した。
「でも植物からできているってことが問題らしいです。安価でできることも、あまりよくないものではって思われてしまうみたいで」
価格は生クリームの半分で販売できるという。
「材料はウーラの実から取れる油が主成分だそうです」
「そんなことを教えても大丈夫なのですか?」
「はい。配合と製法は秘密にというだけですから」
「なるほど。ウーラの油からこれが……」
「代替生クリームとして売りたいものの、製造者さんのまわりでは、これが料理で普通に使われる油ってことが、かえっていい印象が持たれなかったんですって」
「ふむ。それでいい印象になる何かを考えてほしいと頼まれたんですね」