借金令嬢は異世界でカフェを開きます

 ティユは日本でいう笹みたいなもので、殺菌効果がある扇形の葉だ。サンドイッチや焼き栗を包むのによく使われるそれは、乾燥させると無臭になる。色も黄色にうっすら緑色が縞になったように見えるため、クレープの包み紙としてもぴったりだと思い、迷わず採用した。

(何より安価で手に入りやすいもの。しかも見た目は思った以上に、本当に、間違いなく、クレープ屋さんのクレープだわ!)

 心の中でガッツポーズをとりつつも、皆の反応をうかがう。
 クリームだけのシンプルなクレープだが、初めて食べるのはどうだろう。

 最初に「おいしい」と、幸せそうににっこり笑ったのはモリーだ。
 次に、早々に完食したマロンが同意するようにこくこくと頷く。
 その後上品にクレープを食べ終えたオズワルドが、顎を撫でながらゆっくりと頷いた。

「これは新しい食べ物ですね。同じクレープだけど、クレープともケーキとも違うものだ」

 そして称賛するようにグレースを見て、「おいしいです。さすがレディ・グレースだ」と微笑んだ。

「恐れ入ります、オズワルドさん。――ピアツェさんはどう?」

 じっくり吟味している様子のピアツェにグレースが問うと、彼女は少しだけ沈黙した後、「これは立ってでも食べられるんだね?」と、逆に問い返す。グレースが肯定すると、彼女はニヤリと笑った。

「いいね。でもグレース。あんたが考えてるのはこれだけじゃあないんだろ?」
「ええ、もちろん。他にも味を変えたものがあるのよ」
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