借金令嬢は異世界でカフェを開きます
屋台の中を覗き込んで、グレースが焼いたクレープにキャロルたちが興味深そうな顔をする。
「牛乳ではなくウーラを使った植物性のクリームです」
「じゃあ、もしかしてなんだけど、ミルク臭くは……ない?」
実は牛乳や生クリームがちょっぴり苦手だと囁いたキャロルに、グレースはにっこり笑って頷いた。
「ええ。ぜひ試してみてください。小さいサイズにしてみますか?」
「ううん、見た目も可愛いから普通のを食べてみたいわ。ねえ、レディ・グレース。このキャラメルソースというのがとても気になるんだけど、キャラメルって何? 前に食べさせてくれたプリンのカラメルのこと?」
よくぞ聞いてくれた。
そんな気持ちでグレースは、昨晩作ったキャラメルソースの入った瓶をキャロルに見せた。
「少し違います。これは生クリームとお砂糖と水を使って作ったソースなんです」
「カラメルとは見た目も違うけど、いい匂い。そう、生クリームを使ってるのね。でも気になる――――」
そう言ってメニューを何度も見た末に、キャロルは至極真面目な顔で大きく頷いた。
「決めた。やっぱり一番気になるキャラメルソースとナッツ入りクレープにするわ! みんなも同じでいい? じゃあ、レディ・グレース。三つお願いします。あとコーヒーも。今日は大人っぽくブラックでいきます」
「かしこまりました」
あえての「大人」強調が可愛くて、グレースはキャロルの付き人らしき女性二人と笑みを交わした。
手早く注文品を作って渡すと、食べ終えたらしいオウリが「俺にも同じものを二つ」と追加注文する(結局彼らは全メニューを制覇してしまった)。