借金令嬢は異世界でカフェを開きます

 グレースが作っている間、キャロルたちの賑やかな声が屋台の雰囲気を華やかに変えていった。

「おいしいわ。このクリーム、全然牛乳臭くない」
「ええ。こちらのソースには生クリームを使ってるって言ってましたけど」
「そんな感じはしませんね。癖がなくて、甘くて、とろけます」
「本当ね。とってもおいしい。信じられないくらいおいしい! コーヒーもいつもよりおいしく感じる。相性がいいのね! まるで神様のデザートだわ」

 しゃべりながらも夢中で食べる女性たちに影響されたのか、屋台に客が並び始め、モリーが呼び込んだ客も集まって来る。並んでる客も「おいしい」を繰り返すキャロルたちを見て、期待に目を輝かせるのを感じた。

 ビバルは体に似合わずきめ細やかな対応で客裁きを手伝ってくれ、キャロルたちは注目されていることを気づいてる様子を見せないまま、ぺちゃくちゃと楽しそうに食べていった。キャロルだけはおかわりをして、少し年かさの女性に窘められていたけれど、そこはまあ若さということだろう。結局もう一つぺろりと平らげてしまった。

(やっぱり若い女の子とクレープの組み合わせは最強だわ)


 二時間後、準備したクレープは完売。
 新しいメニューの評判は上々ということで、オウリにも正式に仕入れを約束し、クレープのレシピも教えた。
 レシピ公開には驚かれたけれど、王都で受け入れられたものは徐々に地方にも広がっていく。これは期待してもいいのではないかと思うけど、受け入れられたと感じるようになるまでには、まだ時間がかかるだろう。これは先行投資だ。

 ***

 そしてその日の夜。休養日であるグレースとモリーのために、オズワルドが屋台の食事を抱えてやってきた。
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