長い春の先にあったのは
枯れ落ちた春(藍side)
私の反応に仁くんは戸惑っている様子だった。私も驚いている。

『結婚してほしい』

先ほど言われた言葉が頭の中で何度も再生される。私は捨てられるんじゃなかったの?

「藍?」

仁くんが不安そうに私を見る。私は息を吸い込み、ずっと心の中にあった思いをぶつけようと口を開いた。

「私、てっきり今日振られるんだと思った。ボーイッシュな女性とジュエリーショップにいたでしょ。あの人にプレゼントする指輪を選んでたんだと思ってた」

「ち、違う!あいつは浮気相手なんかじゃない!仲のいい警察官だ!俺には藍しかいない!」

「浮気相手じゃないなら、どうして私の知らない女性とジュエリーショップにいたわけ?」

「それは、この指輪を選ぶためだ!」

そう必死に仁くんに言われた瞬間、プツリと我慢していたものが切れた。私はテーブルを叩いて立ち上がる。

「どうして知らない女と指輪を選ぶの!?私が「綺麗な指輪ね。あの人のセンスいいんだね」って喜ぶと思った!?大切なプロポーズの瞬間に、浮気相手だと思っていた女と選んだ指輪なんて誰も受け取りたくないわよ!!」

怒りが収まらない。仁くんが「落ち着けよ」と言っているけど、耳に何も届かない。
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