リセッター ~薊~
【菖蒲】
もう、やめてー・・。
気づいた時には、もう三津井グループはいなかった。体育倉庫の中は電気がついていて、
「渡辺さん、よかった。おきたんだね。」
心配そうに明智くんが私を見ていた。
「あ、明智くん・・?」
もしかして私が起きるまでずっと待っていたのかな・・?
私が起きて安心したのか、ホッとした表情をしている。が、そのあとフイっと顔をそらした。
と、ふと自分の体が視界に入った。胸や、腕、様々なところにキスマークがついていた。そして近くにはゴムの袋が落ちていた。私のスカート、下着も。一周回って私はいま全裸だということに気づいた。ワイシャツがかかってるだけの状態で私はしばらく気を失っていたってこと・・?!
さっき体感した恐怖心が体を駆け巡る。
また襲われる?
あの地獄を、もう一度味わわなきゃいけないの?
高橋くんの興奮した目を思い出した。
みんなイケメンだと言っているけど、もう私は彼の顔を思い出すだけで吐き気がしてくる。
高橋くんの顔を思い出すと同時に私が高橋くんとヤってるときにきもい目で見てきたあいつらの顔も、頭の中に出てくる。
胸の音がどんどん大きくなっていく。
顔も青ざめていく。
頭の中は恐怖でいっぱいだった。
そんな私の様子を見て明智くんが
「大丈夫?」
と声をかけてくれる。
明智くんも、あいつらみたいに、私を快楽の道具としか思っていない気がした。
そんな気はないって分かってる。でも、またあの地獄が待っていると思った私は
「っ・・!見ないで!明智くん!!」
と言って明智くんを拒絶した。
「渡辺さん、落ち着いて。もうあいつらはー・・」
「いや、こないでっ!!!」
「・・・」
もう、私は、処女じゃない・・。
なんで、あんな奴に初めてをとられたんだろう・・!!
なんで私は、三津井グループのやつがロクな奴じゃないって知っていたのに、お試しで今日だけ付き合うことを許してしまったんだろう・・!!
なんで、私が・・
なんで、私がこんな目に・・?
なんで?私なにか悪いことした?
ちがう。私は、悪くない。悪いのは、
「ーなんで好きな人で私を挙げたの・・?」
「ーえ?」
「明智くんがあげなかったら、あなたが私の名前を出さなければ、私は、こんな目に合わなかったのに・・!!」
気づいたらペラペラと言葉が出てきた。普通なら、こんなこと言っちゃいけないって分かってるはずなのに。
「ぜんぶ、あなたのせいだよ・・。」
そう言って私は制服と下着を急いで着る。明智くんは茫然としていた。
そして、すべて着終わった後に私は言ってはいけないことを言ってしまった。
「ずっと、あなただけがいじめられていればいいのに。そうすればみんな幸せだからさ、ずっといじめられててよ。」
と。
最後に見た明智くんは
「ごめんね。」
と言っていた。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
帰り道にある神社の階段に座って、スマホを見た。スマホには母からの着信が大量にあった。
もう19時。いつもならとっくに家にいる時間。
≪ごめん、委員会の打ち合わせしてたら長引いちゃった≫
とだけ送って、スマホの電源を切った。もう何も考えたくなかった。
家に帰る気にもなれなかった。こんな汚い身体で家族に会いたくないー・・。
私は、どうすればいいんだろう。
訴えてもどうせ、三津井くんの会社にもみ消されて、何にもなかったことになるだけだ。
私は、どうしようもないんだ・・。もう他人なんて信用できない・・。
頬に水が伝う。雨かなと思ったけど、雨は降っていない。なんなら空では星がキラキラ輝いている。
「っぁ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・!!!!!」
気づいたら私は声をあげて泣いていた。
今日のことを無かったことにできればいいのに。
こんな高校に来なきゃよかった。
(過去に、戻りたい。)
過去に戻って、やり直したい。
受験の頃から、こんな学校に来ないようにもっと勉強して、滑り止めもちゃんと考えて。
私は無意識に歩いていた。目の前には賽銭箱がある。財布から全財産をジャラジャラと賽銭箱に入れた。
二礼二拍手。
「私は、どこから間違ったんでしょうか・・?」
何がいけなかったんですか?
「どうか」
お願いですから。
「どうか、私に、やり直しのチャンスをください。お願いします。お願いします。お願いします・・。」
何度も何度も私は願った。
私の頭の上では星が流れていたことに気づかずに。
もう、やめてー・・。
気づいた時には、もう三津井グループはいなかった。体育倉庫の中は電気がついていて、
「渡辺さん、よかった。おきたんだね。」
心配そうに明智くんが私を見ていた。
「あ、明智くん・・?」
もしかして私が起きるまでずっと待っていたのかな・・?
私が起きて安心したのか、ホッとした表情をしている。が、そのあとフイっと顔をそらした。
と、ふと自分の体が視界に入った。胸や、腕、様々なところにキスマークがついていた。そして近くにはゴムの袋が落ちていた。私のスカート、下着も。一周回って私はいま全裸だということに気づいた。ワイシャツがかかってるだけの状態で私はしばらく気を失っていたってこと・・?!
さっき体感した恐怖心が体を駆け巡る。
また襲われる?
あの地獄を、もう一度味わわなきゃいけないの?
高橋くんの興奮した目を思い出した。
みんなイケメンだと言っているけど、もう私は彼の顔を思い出すだけで吐き気がしてくる。
高橋くんの顔を思い出すと同時に私が高橋くんとヤってるときにきもい目で見てきたあいつらの顔も、頭の中に出てくる。
胸の音がどんどん大きくなっていく。
顔も青ざめていく。
頭の中は恐怖でいっぱいだった。
そんな私の様子を見て明智くんが
「大丈夫?」
と声をかけてくれる。
明智くんも、あいつらみたいに、私を快楽の道具としか思っていない気がした。
そんな気はないって分かってる。でも、またあの地獄が待っていると思った私は
「っ・・!見ないで!明智くん!!」
と言って明智くんを拒絶した。
「渡辺さん、落ち着いて。もうあいつらはー・・」
「いや、こないでっ!!!」
「・・・」
もう、私は、処女じゃない・・。
なんで、あんな奴に初めてをとられたんだろう・・!!
なんで私は、三津井グループのやつがロクな奴じゃないって知っていたのに、お試しで今日だけ付き合うことを許してしまったんだろう・・!!
なんで、私が・・
なんで、私がこんな目に・・?
なんで?私なにか悪いことした?
ちがう。私は、悪くない。悪いのは、
「ーなんで好きな人で私を挙げたの・・?」
「ーえ?」
「明智くんがあげなかったら、あなたが私の名前を出さなければ、私は、こんな目に合わなかったのに・・!!」
気づいたらペラペラと言葉が出てきた。普通なら、こんなこと言っちゃいけないって分かってるはずなのに。
「ぜんぶ、あなたのせいだよ・・。」
そう言って私は制服と下着を急いで着る。明智くんは茫然としていた。
そして、すべて着終わった後に私は言ってはいけないことを言ってしまった。
「ずっと、あなただけがいじめられていればいいのに。そうすればみんな幸せだからさ、ずっといじめられててよ。」
と。
最後に見た明智くんは
「ごめんね。」
と言っていた。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
帰り道にある神社の階段に座って、スマホを見た。スマホには母からの着信が大量にあった。
もう19時。いつもならとっくに家にいる時間。
≪ごめん、委員会の打ち合わせしてたら長引いちゃった≫
とだけ送って、スマホの電源を切った。もう何も考えたくなかった。
家に帰る気にもなれなかった。こんな汚い身体で家族に会いたくないー・・。
私は、どうすればいいんだろう。
訴えてもどうせ、三津井くんの会社にもみ消されて、何にもなかったことになるだけだ。
私は、どうしようもないんだ・・。もう他人なんて信用できない・・。
頬に水が伝う。雨かなと思ったけど、雨は降っていない。なんなら空では星がキラキラ輝いている。
「っぁ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・!!!!!」
気づいたら私は声をあげて泣いていた。
今日のことを無かったことにできればいいのに。
こんな高校に来なきゃよかった。
(過去に、戻りたい。)
過去に戻って、やり直したい。
受験の頃から、こんな学校に来ないようにもっと勉強して、滑り止めもちゃんと考えて。
私は無意識に歩いていた。目の前には賽銭箱がある。財布から全財産をジャラジャラと賽銭箱に入れた。
二礼二拍手。
「私は、どこから間違ったんでしょうか・・?」
何がいけなかったんですか?
「どうか」
お願いですから。
「どうか、私に、やり直しのチャンスをください。お願いします。お願いします。お願いします・・。」
何度も何度も私は願った。
私の頭の上では星が流れていたことに気づかずに。

