転生デビュー 〜おバカ王子とツンデレ悪役令嬢のジレキュンな日常〜
 金色の残光を残してぬいぐるみが跡形もなく消えた。燃やすなどの処理をされたことがある品は、こうして思念だけで形を保っているからだ。

 本来もうなかったものであるせいか、浄化したあとにはそれ自体の色や形などの記憶は薄れる。

「ザクザク浄化していくぜ」
「ま、待ってください。私が叶えられそうなのは叶えてあげたいです」
「おかしなものに付き合うと精神を病むぜ」
「でも、私は思いに触れてしまいました。無関係にはもう思えません。それに浄化さえすれば、そのもの自体の記憶は薄れます」
「はー……、しゃーねーな」

 ガリガリとリュークが頭をかいた。

「ルリアンはリストを完成させてくれ。メンタルがやられそうなのは強制的に浄化させる。願いを叶えてやっても問題なさそうなのは残しておいて検討しよう。俺でも浄化できないのがあれば、ひとまず保管しておこう」
「はい、ありがとうございます。もう少し探れば、もっと具体的な思念の内容が分かるはずです」
「ってわけだ。こっちはルリアンと俺でボチボチやるさ」
「分かった。よろしくな」

 俺にできることもないし、完全にお任せになるな。

「まずはこの子たちに、持ち主の場所に戻らないよう居場所を作ってあげたいです。捨てられたと感じると戻ってしまいます」
「あー。じゃ、そっちはニコラたち頼むわ」
「お……おう」

 できることがあったな!?

 こうして、俺たちの元には厄介な呪われ(?)の品がやってきた。

「せっかくなら素敵な居場所にするにゃん。一部屋使うにゃん。ここから遠い部屋がいいにゃん」
「トラ……、できる限り遠ざけようとしているだろう」
「絶対に何か起こる気がするにゃん。楽しそうな部屋にするにゃん。風船で埋め尽くすにゃん」
「どんな部屋だよ!?」
「部屋の名前は『ポチの部屋』とかでどうにゃん。楽しそうにゃん」
「犬はいねーよ!?」
「ニコラ王子、律儀に突っ込むにゃんね〜」

 律儀なのか?

「各自で楽しそうなものを持ってくることにするにゃんね」
「よっぽど嫌なんだな!?」

 なぜか女性陣の目がキラリと輝いたのは見なかったことにしよう。

「だって気持ち悪いにゃん。にゃーにはびんびんおかしな匂いが伝わってくるにゃん。たぶん人間より敏感にゃん」
「それは大変だな」

 ――この時は、まさかあんなことになるとは思わなかった。


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