友情結婚って決めたのに 隠れ御曹司と本気の恋をした結果
私が正気とは思えぬ提案を今すぐに受け入れられるような人間ではないと、彼も理解はしているらしい。
「でも……。少しでも興味があるなら、いつでも声をかけてください。俺はずっと、待っているので」
伊瀬谷くんは強引に結論を迫ることはなく、こちらの準備が整うまで待ってくれた。
その配慮が、とても嬉しい。
「長々お時間を頂戴して、すみませんでした。仕事、しましょう」
「うん……」
彼は何事もなかったかのように対面の椅子へ座り直し、机の上に並べられた来月号のレイアウトを確認し始めた。
その視線は真剣そのもので、完全に仕事モードへ入っている。
どうやら、私と一緒にこの会議室で残業を続けるつもりのようだ。
――こっちは思いがけぬ提案を受けたせいで、全然仕事に身が入らないのに……!
結婚って、好き同士がするものでしょ?
愛し合ってもいないのに、籍を入れるなんておかしいよ。
そんな不満がぐるぐると頭の中で駆け巡っては消えていく。
そんな状態では、時間を無駄に消費するだけだ。
このままここにいたってどうしようもない。
今なら終電にも間に合うし、帰ろう。
「でも……。少しでも興味があるなら、いつでも声をかけてください。俺はずっと、待っているので」
伊瀬谷くんは強引に結論を迫ることはなく、こちらの準備が整うまで待ってくれた。
その配慮が、とても嬉しい。
「長々お時間を頂戴して、すみませんでした。仕事、しましょう」
「うん……」
彼は何事もなかったかのように対面の椅子へ座り直し、机の上に並べられた来月号のレイアウトを確認し始めた。
その視線は真剣そのもので、完全に仕事モードへ入っている。
どうやら、私と一緒にこの会議室で残業を続けるつもりのようだ。
――こっちは思いがけぬ提案を受けたせいで、全然仕事に身が入らないのに……!
結婚って、好き同士がするものでしょ?
愛し合ってもいないのに、籍を入れるなんておかしいよ。
そんな不満がぐるぐると頭の中で駆け巡っては消えていく。
そんな状態では、時間を無駄に消費するだけだ。
このままここにいたってどうしようもない。
今なら終電にも間に合うし、帰ろう。