友情結婚って決めたのに 隠れ御曹司と本気の恋をした結果
 私は今、料亭の一室で見合い相手の御一行様がやってくるのを親族と一緒に待っていた。

 ――蛍くんと結婚したら、両親の言いなりになる必要なんかないと思っていたのに……。
 結局離婚すれば、元の木阿弥だ。

 別れるなんて、言わなきゃよかった。
 蛍くんと結婚してから、私は後悔ばかりの人生を送っている。
 そんなの、自分らしくないよね。

 ――変わらなくちゃ。
 いつまでも、悲劇のヒロインぶってなんかいられなかった。

 私は勇気を振り絞り、両親に向かって声を荒らげた。

「私に相応しい男性は、たった1人だけしかいない!」
「な、何を言ってるの?」
「そうだぞ、菫。お前は相手を選べる立場じゃないだろう!」
「結婚に二度も失敗するなんて、許されないわ」
「こんなの、絶対におかしいよ!」
「ここまで来て、一体何を……っ」
「私はまだ、蛍くんの妻だよ! お見合いなんてしない!」

 しかし、両親だってただでは転ばない。
 見合いをドタキャンなんてしたら、家名に泥を塗る羽目になるからだ。
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