友情結婚って決めたのに 隠れ御曹司と本気の恋をした結果
「ちゃんと、立ち向かわなきゃ駄目だよ。1人で壁を乗り越えたり破壊するのが苦しいのなら、私も協力する!」
「菫さんに、迷惑なんてかけられません」
「うんん。私達は、夫婦だもん。助け合って生きていくべきだよ」

 一生懸命言葉を尽くせば、いつかは分かり合えるはずだ。
 今すぐに実を結ぶ必要はない。
 これからゆっくりと、蛍くんの中で考えては答えを出してくれたら、それで充分だった。

「こうやって苛立つ俺を見捨てることなく、そばにいてくれるだけで……。充分すぎるほどに、救われています」
「ちょっとだけ、冷静になれた?」
「そう、ですね。落ち着きは、取り戻せたかと……」

 しかし、蛍くんは私が思っている以上に強い人だったようだ。
 ウジウジと悩む暇なく、反省した様子を見せてくれる。

「最低ですね。母親の病状よりも、自分の心配をするのが先なんて……」
「仕方ないよ。誰だって、自分の身が一番かわいいもん」
「今すぐにどうこうと言わないだけマシだと、よくわかっているのですが……」

 蛍くんはやはり、蛍火グループを継ぎたくないと言う気持ちが大きいのだろう。
 まだ迷っているようで、瞳の奥底は揺れていた。
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