友情結婚って決めたのに 隠れ御曹司と本気の恋をした結果
「身分証は肌見放さず、持ってますよね」
「まぁ、一応……」
「なら、このまま婚姻届を出しに行きます」
「今から!?」
すると彼は、善は急げと言わんばかりに唐突すぎる提案をしてくる。
それを受け、困惑するしかなかった。
――今日の私は、驚いてばっかりだなぁ……。
そんなに躍起にならなくたって、いいのにね。
こちらの気持ちを疑わないでほしいという思いを乗せ、慌てて待ったをかけた。
「それはあまりにも、急展開すぎるような……?」
「疲れた勢いで伝えただけとか、やっぱりなかったことに、なんて訂正されたくないので」
しかし、伊瀬谷くんは絶対に譲らなかった。
彼はこちらが否定してこないように強い意志を全身で発し、涙声で懇願してくる。
「桐川さんは、嫌ですか。俺と法律婚をするの」
「ええ……? 話を聞いている限りでは、どっちの両親も昭和的な価値観を持っているタイプだし……。籍を入れずに同棲とか、絶対文句を言われそうだもん。それは、容易に想像ができるから……」
「そうですね。世間体を気にするのであれば、夫婦になったほうが得ですよ。あとは、デメリットと相談ですね」
「あー……」
「まぁ、一応……」
「なら、このまま婚姻届を出しに行きます」
「今から!?」
すると彼は、善は急げと言わんばかりに唐突すぎる提案をしてくる。
それを受け、困惑するしかなかった。
――今日の私は、驚いてばっかりだなぁ……。
そんなに躍起にならなくたって、いいのにね。
こちらの気持ちを疑わないでほしいという思いを乗せ、慌てて待ったをかけた。
「それはあまりにも、急展開すぎるような……?」
「疲れた勢いで伝えただけとか、やっぱりなかったことに、なんて訂正されたくないので」
しかし、伊瀬谷くんは絶対に譲らなかった。
彼はこちらが否定してこないように強い意志を全身で発し、涙声で懇願してくる。
「桐川さんは、嫌ですか。俺と法律婚をするの」
「ええ……? 話を聞いている限りでは、どっちの両親も昭和的な価値観を持っているタイプだし……。籍を入れずに同棲とか、絶対文句を言われそうだもん。それは、容易に想像ができるから……」
「そうですね。世間体を気にするのであれば、夫婦になったほうが得ですよ。あとは、デメリットと相談ですね」
「あー……」