友情結婚って決めたのに 隠れ御曹司と本気の恋をした結果
 しかし、こちらが自己紹介をするためにお母様のほうから簡単なプロフィールを読み上げられてしまった。
 彼女が残念そうに肩を竦めると、お父様のほうがコーヒーカップに口づけながら淡々と語る。

「蛍は打算で動く女性を嫌悪している。真逆の反応をする彼女が、新鮮に写ったのだろう」
「わたくし達が書類で落とすような経歴の淑女ですもの。強引に籍を入れて反対できないように先手を打ったあなたの気持ちは、わかりますわ。けれど……」

 私達夫婦がだんまりを決め込んでいるのをいいことに、ご両親は容赦なく畳みかけた。

「やはり、彼女は我が伊瀬谷にはふさわしくないのではなくて?」
「そうだな。我が蛍火グループの社長夫人の器ではない」

 彼の父親から日本で知らぬものはいない有名ファストファッション企業の名が飛び出てきてくるなど、思いもしない。

 確かに、初日に差し出された真新しいパジャマのブランドは蛍火グループの系列会社だったけど……! 
 まさか、蛍くんがあそこの社長さんと関わりのある人間だなんて思いもしなかった。
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