友情結婚って決めたのに 隠れ御曹司と本気の恋をした結果
「貴重な実体験を聞かせて頂き、ありがとうございました」
「いーえー! 困ったことがあったら、また来てね!」

 狐面の御夫婦はこちらに別れを告げると、あっという間に会場内の喧騒に紛れてしまった。

 2人きりになった私達の間には、気まずい沈黙が流れる。

「そろそろ……」
「そうだね。貴重な経験談も聞けたし……」

 私は手持ち無沙汰になった頃合いを見計らい、テーブルの上に並べられた料理を啄く。
 けれど、すぐさま夫から「ここには食事を食べにきたわけではないでしよね」と言わんばかりに帰宅を促される。

 逆らうのも、よくないよね。

 私はそう考え、紙皿と紙コップをゴミ箱へ捨てて会場をあとにしようとした。
 だが、そんな夫婦に声をかけてくるものが現れた。

「待ちなさい!」

 一体誰だと振り返れば、そこにいたのは般若面をつけた謎の女性だった。
 その恐ろしさと叫び声に震え上がるほど驚けば、彼女の口からさらなる衝撃的な言葉が飛び出す。
< 88 / 238 >

この作品をシェア

pagetop