友情結婚って決めたのに 隠れ御曹司と本気の恋をした結果
「お2人は、お子さんを授りたいと思ったことはありますか?」
「莉子、子どもが欲しくて結婚したんだ! だからね? お金が溜まったら、妊活しようと思ってるの!」
「あの、初対面でこういうのを聞くのはあんまりよくないと思うのですが……」
「2人共、心身ともに健康だよ?」
「で、でも……」
「莉子たち、友達だから。人工授精にチャレンジする予定なの!」
「そ、そうなんですか……」

 狐娘さんがあっけらかんと語ってくれたおかげで変な空気にならなくて済んだけれど、明らかに初対面の夫妻に聞いていいような内容ではなかった。

 ――どうしたもんかな……。
 謝ったほうがいいんじゃ……?

 オロオロと視線をさまよわせていると、狐男さんがいつの間にか紙コップを捨ててこちらを凝視していた。

 ――ちょうどいいから、聞いちゃおう。
 私は蛍くんと絡めた腕の力を強めて安心させると、思い切って彼女の話の真偽を確認する。

「あなたも、同意されているんですね?」
「まぁ……」

 口数の少ない狐面の男性が本心ではどう思っているのかは、表情を覆い隠しているせいで窺い知ることはできそうになかった。
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