弱さを知る強さ
気づけば2時間
夜も21時
救急から連絡なかったし
症状は落ち着いているんだろう
入院の決心がついたか、たずねに
処置室に戻った
「失礼します」
区切られてるカーテンを開けて
中に入った
「...グスッ」
反対側を向いていて
顔は見えないけど、泣いている
「泣くな」
「...うぅぅぅ」
「泣くなって
泣いてるお前は可愛くない」
「もともとかわいくない」
「ははっそうやって反抗してこい」
「...」
「なんでも受け止めてやるから
泣いてても進まない
覚悟決めて土日、病院で様子見よう
俺も病院にいるから」
「月曜、実習いけるよね?」
「...んーまぁ今の所はそのつもり」
「絶対行かせてくれるなら...
土日、入院する」
「何事にも絶対はない
でもなんとかして行かせてあげたいとは思う」
「...わかった」
「ベッドの手配するからちょっと待ってて」
とりあえず7階の消化器の病棟に空きがあって
入院受け入れの準備をしてもらった
「お待たせ、上にあがろう」
いつもなら夜勤の看護師がお迎えに降りてきてくれるけど俺がみてる患者で事情を説明したら
『上までお願いしまーす』って言われて
俺が車椅子で連れて行くことになった
「着替えとかどうしたらいい?
携帯の充電器とか勉強するためにiPadとか
取りに戻りたいんだけど...」
「もう外には出れない
俺が持ってきてやろうか?」
「家から?」
「うん」
「着替えは嫌だ
下着とか流石に頼めない」
「じゃ売店で買えば?
パジャマとかもレンタルできる」
「...わかった」
「勉強道具は?」
「金森先生、明日休みだっけ?」
「明日は当直だから今晩取りに行って持ってくる
必要な物、メッセージで送って」
「わかった、ありがとう」
入院する部屋に送り届けて担当看護師に軽く引き継ぎをしてすぐに取りに行った
鍵も本人から借りて
必要なもの全てキャリーケースにいれてまとめた
「おもっ」
医学生の時を思い出す
俺も重たい教科書もって勉強していた
国試前なんて部屋の天井まで積み上がるくらいの
教科書や参考書を開いて対策をした
俺もなんとかして合格しなければと
必死だったから神田 あやはも必死なのもわかる
だからこそとことん頑張らせてあげたい
でも症状が進行していて治療も進めたい
こんなにあいつに気持ちが入るのは
不思議で仕方なかった
病院に戻って荷物を全て渡した
「ありがとう」
「勉強はほどほどに...」
「はい」
「あと飯、出された半分は食え」
「...無理だよ」
「食べないと体力がもたない」
「わかってるんだけどすぐお腹いっぱいなるしお腹も痛くなる」
「頑張って時間かかってでもいいから半分食え
できなかったら点滴して両手点滴地獄にしてやる」
「なにそれ」
「両手、点滴のしてたら勉強できないぞ〜」
「片手から2種類いれれるでしょう」
「ははっ、看護師の卵は騙せないな
頑張って半分食えよ」
「...」
「じゃまた明日、今日はもう寝ろ」
「うん、おやすみ」
「おやすみ」
入院中少し、治療や検査ができるようにしたい
なんでそんなに嫌がっているのかもわからないし教えてくれない
◎