弱さを知る強さ
◯あやは◯
管で取られるのは考えるだけで吐き気がする
仕方なく看護師に渡した
売店に行きたいのに金森先生も行くってさっき言われたから待つしかない
1時間くらい待ってまだ来ない
...プルルル
痺れを切らしてプライベート用に電話をかけた
出ない
確かに今日、当直って言ってたような...
忙しいんだろうな
1人で売店に向かった
パジャマはレンタルして下着は買った
テレビカードで洗濯もできる
シャワー浴びて洗濯した
そんなこんなしてたらあっという間に土日なんて終わるんだろうな
月曜日からの実習の記録を進めて事前に勉強を始めたら一瞬で時間が過ぎて晩ご飯が届いた
私には毎回本当に多すぎる量
どうしよう...
...ガラララ
「ごめん、電話もらってたな
忙しくて手があかなかった」
「...」
「売店に行った?」
「うん」
「そっか」
「俺も落ち着いたしここで飯食っていいか?」
「...いいけど」
「買ってこよ〜」
晩ご飯を一緒に食べるらしい
私がちゃんと食べるか見張るんだろうな
今日の朝昼は3分の1しか食べれなかった
金森先生が来る前にちょっとずつ食べ始めた
3口でお腹が痛い
「...はぁ」
...ガラララ
戻ってきた
このタイミングで腹痛を隠すのにトイレにこもるしかない
「トイレ行ってくる」
「待って」
腕を掴まれた
「なに」
「顔色悪い、腹痛いのか?」
「...」
「図星か、ベッドいけ
ちょっとみるから」
「トイレ行ったら治る...」
「朝もそれでトイレにこもったんだな」
「...」
「お腹ちょっとみせて」
ここまでバレていたらもう隠せない
諦めてベッドに戻った
金森先生は聴診器を使って腹部の聴診を始めた
なんも言わないところがまた怖い
「内視鏡の検査したい
それが退院の条件になる」
そんなこと聞いていない
土日とりあえず療養する
それだけのために入院してる
明日まで耐えれば明後日からは実習にいく
いつも通りの生活に戻る
「痛み止めちょうだい
くれたら頑張ってご飯食べるから」
「無理、点滴で入れるならいいよ」
「...じゃあいらない」
本当にわからずや
なんもわかってくれないし寄り添ってくれない
そうか、そうだよな
医者だもん、私にすごく良くしてくれるから私もわかってくれてる気がしてただけでそれが間違いだった
私も金森先生を信じるのをやめる
寄り添ってくれるのを期待するのやめる
内視鏡しろ、点滴うて、ご飯を食え
なんでそんな嫌なことばっかり言ってくるの
「...はぁ」
逃げたくても逃げられない
痛みを我慢してご飯を食べるしかない
「今晩も寝静まったら点滴で炎症抑える薬を入れようと思う」
「...」
「内視鏡も寝てる間にできるけど夜はできない
昼に薬で眠ってもらってやることになる」
ご飯を食べながらそんな話聞きたくない
「ご飯が不味くなる、やめて」
「明日、午前中やる?午後やる?」
「...」
「今から水以外は口にしないで
明日の朝も絶食だから」
「...」
淡々と話を進めていく
金森先生はもう食べ終わりそう
こんないっぱい食べれるなんて羨ましい
みてて気持ちいいなぁ
「明日、内視鏡の検査
上からと下からと両方したいけど俺がいい?それとも他の医師がいい?」
「...」
「特に希望ないなら俺が見るけど」
「無理」
寝てるとはいえ知ってる先生に身体の中を見られるのは考えられないくらい恥ずかしい
「わかった、じゃあ同期の女医に頼んどくから
ちゃんとやれよ」
「...」
「お前さぁ好きな食べ物とかあんの?」
「...」
「検査終わったら買ってきてやるよ
俺明日、当直明けで時間あるし」
なに今さら機嫌とって
顔をみるとすごく笑顔で私を見ている
「なに?急に」
「いや別に?」
「好きなものはない」
「わかった
よし、じゃあ明日な
ご飯は下げとくからゆっくり休め」
「...」
なんか伝えたいことだけ伝えてさっと出て行った
なに?本当気分悪い
◯