弱さを知る強さ
◎恭介◎

半無理矢理ではあるが今晩の点滴と明日の内視鏡の話はできた
大人しくやるかどうかはわからないけどここでしっかり検査してくれれば治療も進む

病院にいる間は腹痛で意識がなくなるなんてことは今の所ない

夜の点滴で少しは痛みをコントロールできてるんだろう

昼も点滴をいれて治療をすすめていけれたらもっとマシになるかもしれないけど今のあいつには逆効果
顔が真っ青になって呼吸もできなくなる

理由もわからないしそこも徐々に心を開いて聞き出したい

夜になってそろそろ眠りにつく時間
薬を持って部屋に向かった

電気がついている

...ガラララ

「まだ起きてるのか、日付変わったぞ」

「...」

勉強道具を広げている

「記録か?」

「...」

「手伝ってあげようか」

「いい」

「珍しい
いつも手伝って〜って言うのに」

「...」

やっぱちょっと機嫌が悪い

明日の内視鏡のせいか?

「手伝うからさっさと寝て体力つけろ」

「いいってば」

パイプ椅子を組み立ててベッドサイドに座った
いいって言われてもはやく薬飲んで点滴開始したい

「月曜日からも母性か、みせてみ」

記録途中の紙を少し覗くと患者のことをしっかり考えて計画を立てれている

医師にはフォローしきれないところを看護師がしっかりみてくれているから患者も安心して治療を受けられる

尊敬する仕事だ

「この計画でいいと思うけど当日朝のバイタル次第だな、血圧上がってたら即帝王切開だろうし」

「...うん」

「血圧どれくらい上がったら即帝王切開かわかる?」

「上が...160とか?」

「まぁ数値としてはそうだな
あとは患者と赤ちゃんの様子みてだな」

「じゃあさぁ...
...
....
...」

結局、記録を手伝って1時過ぎになった

「もう終わりだ、寝ろ」

「...」

「明日は忙しい、体力残しとかないと」

「...」

「はい、薬
これ飲んで寝ろ、また1時間後みにくる」

「...わかった、寝る
おやすみ」

「おやすみ」

昨日よりは薬を飲むことに抵抗もないし点滴を打つことをすんなり受け入れた

部屋を出て1時間経って見に行ったら
看護の教科書を読みながら寝ていた

電気はついたまま
薬は飲んだ形跡があった

点滴の準備をしてそっと部屋に戻った

教科書を片付けてベッドの周りをきれいにした

点滴も無事繋がることができて薬のおかげで起きる気配はない

寝顔が可愛い
なんか本当に変な感情だ
患者に対してこんな感情になるのは初めてで変な感覚
どうにか腹痛マシになって実習を頑張ってほしい

寝ている神田あやはの頭を撫でて部屋を出た


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