弱さを知る強さ
...プルルル
...プルルル
『はい』
「帰ってすぐごめん」
『なに?』
「眠剤、クリニックにない?」
『ない』
「鎮静もない?」
『ない』
「...了解、わかった」
『まだクリニックにいるの?』
「うん」
『手伝えることある?』
「眠剤なしで点滴したら吐き気で飛び起きて苦しそう、どうしたらいいと思う?」
『お前の病院戻す』
「そうだよな...」
『本当に患者のこと考えてんのか?』
「うん...」
『俺は入院一択、実習とか関係ない
命を救う選択しろ』
「...」
『いまから行くわ、
お前揺らいでんだろ、ちゃんとした選択できてねぇ』
「ここまで信頼関係築くのにだいぶかかったんだよ、崩すとその方が命救えない」
『強制的に入院させて縛りつけてでも治療受けさせろ』
「考える、ありがとう」
『手伝いに行こうか?』
「いい」
『しっかりしろ、恭介』
「うん」
『じゃあな』
聡らしい回答だ
でも俺はできない
本人の意思を尊重したい
クリニックには眠剤も鎮静剤もない
とりあえず耐えてもらうしかない
あやはのところに戻ったら
もどしていた
何がここまで苦しめている原因なのかおいおい聞いていきたいが一旦、総合病院に戻す選択しかない
「抜こう、腕貸して」
「...」
無言で腕を差し出した
せっかく刺したけど仕方ない
抜いてあやはが落ち着くのを待った
◎