私の愛すべき人~その別れに、愛を添えて~
どんな答えでも、笑顔でいようって、密かに決めていた。泣かないって決めていたのに。決意も虚しく、みるみるこぼれ落ちる涙……
涼介の前にすると、泣き虫でこんなにも弱くなってしまう。

「それはわからない。だけど、俺に幸せだとかなんだとか、言える権利はないと思ってる」
「なに、それ。涼介は幸せになっちゃいけないの?おかしいよ……そんなの」

彼の瞳から、光が消えていく。罪悪感という重くて暗い鎖に、彼自身が心を縛り付けている。

「俺はそれだけのことをしたんだ。もちろん凛のことも傷つけた。だからこんな俺なんかじゃなくて、凛は自分の幸せだけを考えろ」
「あれから毎日涼介のことばかり考えてた。わかったふりして飛び出したけど、後悔ばかりしてた。涼介がいないとダメなの…」

溢れ出した思いはもう止まらなかった。困らせても、悩ませても重たい女でもこれが私の本音。

もう、嘘はつけない……。

「凛、泣かないで」

大きな手がぽんと私の頭を撫でる。子供をあやすような仕草に、また新しい涙がこみ上げてくる。

「俺もあれからずっと凛のこと考えたよ。どうしてるかなとか、今頃泣いてるかもなとか、頭から離れなかった」

彼の痛みを堪えるような声が、夜の静寂に響く。

「まだ何もわからない。今はただ沙羅の体のことを一番に考えたい。たぶん連絡もできない。会うことも」
「……うん」
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