私の愛すべき人~その別れに、愛を添えて~
リズミカルで、心地よいはずのハサミの音が、今の私には処刑台の秒読みのように聞こえる。空気が、肺まで届かないような息苦しさを感じる。
ある程度切り終わると、彼女は私の髪をそっと持ち上げ、その出来栄えを鏡越しにじっと確認していた。
何度も何度も、プロフェッショナルな指先が私の髪を梳いていく。 鏡に映る彼女は小さな顔に、光を弾く艶やかな栗色の髪。体にフィットした細身のパンツがモデルのようなその体型を、より一層引き立てていた。
このシルエット……。暗闇の中で、涼介の隣で微笑んでいた、あの女性の姿と重なる。
「店長、チェックお願いします」
アシスタントさんの声に、彼女は「はぁい」と明るく返事をすると、「ちょっと失礼しますね」と、私から離れていった。
ドクン、ドクンと、胸が騒がしくて仕方がない。やっぱり、あの人なんじゃ……
「ねぇ、店長なんて、くすぐったいんだけど」
唇を噛みしめ、必死に平常心を保とうとする私のすぐ後ろから、甘えるような声が聞こえてくる。
髪を切ってさっぱりと明るくなるはずだった私の表情は、鏡の中でみるみるうちに青ざめていく。
「え~、だって、店長じゃないですかぁ」
「普段通り、沙羅でいいって言ってるのに」
……やっぱり。沙羅さんだ。
ある程度切り終わると、彼女は私の髪をそっと持ち上げ、その出来栄えを鏡越しにじっと確認していた。
何度も何度も、プロフェッショナルな指先が私の髪を梳いていく。 鏡に映る彼女は小さな顔に、光を弾く艶やかな栗色の髪。体にフィットした細身のパンツがモデルのようなその体型を、より一層引き立てていた。
このシルエット……。暗闇の中で、涼介の隣で微笑んでいた、あの女性の姿と重なる。
「店長、チェックお願いします」
アシスタントさんの声に、彼女は「はぁい」と明るく返事をすると、「ちょっと失礼しますね」と、私から離れていった。
ドクン、ドクンと、胸が騒がしくて仕方がない。やっぱり、あの人なんじゃ……
「ねぇ、店長なんて、くすぐったいんだけど」
唇を噛みしめ、必死に平常心を保とうとする私のすぐ後ろから、甘えるような声が聞こえてくる。
髪を切ってさっぱりと明るくなるはずだった私の表情は、鏡の中でみるみるうちに青ざめていく。
「え~、だって、店長じゃないですかぁ」
「普段通り、沙羅でいいって言ってるのに」
……やっぱり。沙羅さんだ。