私の愛すべき人~その別れに、愛を添えて~
「冴島はいつ行くんだ? 大阪」
「まだ決めてない。ねぇ、あんたとはもう、会えなくなるの?」
「なんだよ。俺に会えなくて、そんなに寂しいのか?」
少しだけ意地悪な響きに、かぁっと顔が熱くなる。
「そ、そんなわけないでしょ!」
「ふーん」
慌てて否定する私を、彼は面白そうにただじっと見つめている。その視線から逃れるように、私は俯いた。
「嘘。ちょっとだけ、寂しいかも。だってこれまでいつも一緒にいたし、友達……だから」
ぽつりと自分でも驚くほど、素直な言葉がこぼれ落ちた。すると彼がふっと、息を吐く音がした。
「そんな顔するな。無理やりにでも、連れ去りたくなる」
「え……?」
冗談とも本気ともつかない熱を帯びた声色に、心臓が跳ねあがった。
そろりと彼を見上げると、いつも憎まれ口ばかり叩いている一ノ瀬とはまるで別人のような彼がいた。