私の愛すべき人~その別れに、愛を添えて~
「何、言ってるの? 私は涼介と結婚するって……」
「それは、本心から? 心の底からそうしたいと思ってる?」
彼の真剣さが熱となって伝わってくる。握られた両手には、じんわりと汗が滲んでいた。
「本心に決まってるじゃない」
「そうかな? 素直で、可愛いところ。凛のそういう良いところを、俺自身が壊したくない。本当はあいつの所に行きたいんじゃないのか?」
全てを見透かすような涼介の視線に、私は思わず目を逸らしてしまった。
なに言ってるの……こんな土壇場になって。
「いかないよ。私は涼介と大阪に行くんだから」
「凛は迷ってる。俺にはわかるよ」
「……っ」
私が息を飲むのを見て、彼はクスッと悲しそうに笑った。
「いつ切り出すのかなって思ってた。でもここに来てもまだ言わないんだから」
「……ちがっ」
「凛。いつからそんなに嘘がうまくなったんだ? 最後まで、俺に言わせる気か?」