私の愛すべき人~その別れに、愛を添えて~
「涼介、ごめん……っ」
震える口元にきゅっと力を入れると、涙でぐしゃぐしゃの顔でゆっくりと涼介を見上げた。
「謝らなくていい。俺もたくさん凛を泣かせた。傷つけた」
「ううん、それは違う。涼介といたほんの数ヶ月は、私の宝物だよ。かけがえのない時間だった。ありがとう」
何度も心をときめかせた、その声。心をくすぐった優しい瞳。全てが大好きだった。
「幸せになれよ」
「ありがとう、涼介」
何度言っても、足りない。
「ありがとう……」
「凛」
掠れた声で私の名前を呼ぶと、涼介は握っていた手をそっと解いた。そして、
「行け、凛!」
その声を合図に、私は来た道へと飛び出していた。気づけば、ヒールの音を響かせながら、無我夢中で走っていた。