私の愛すべき人~その別れに、愛を添えて~

◇◇◇

このどんでん返しとも言える結末に、一番喜んでくれたのは、菜穂だった。

後日、久しぶりに健も交えた四人で会った時のこと。待ち合わせ場所に、少しだけ照れながら、二人で並んで集合場所へ行くと、菜穂が「おぉー!」と太陽みたいな笑顔を咲かせた。

そうかと思えば、次の瞬間には、子供みたいにわんわんと泣き出したのだ。

「凛~! よかったねぇ、本当によかった おめでとぉぉ!」
「もう、菜穂。泣きすぎ」

泣きじゃくる親友を笑いながら、私は小柄な彼女をぎゅっと抱きしめた。

ひとしきり泣いて、菜穂が少し落ち着いたところでカフェに入った。

席についた直後、菜穂がふと思い出したように、健の方を睨みつけた。

「ていうか、健! あんた、一ノ瀬がアメリカ行くって言ってたよね!どういうことよ!?」
「いやぁ、ほら。アメリカ資本の有名企業って言ってたから、てっきり渡米するのかなーって。だいたい、お前がちゃんと説明しねえからだろ!優!おい、こら!」

話を振られた一ノ瀬は、コーヒーに口をつけながら、心底呆れたという顔で深いため息をついた。

「ったく、どんな勘違いだよ。俺は渡米するなんて一言も言ってない。外資系に間違いないけど、オフィスは普通に国内だっつーの」
「まぁでもさ、俺の盛大な勘違いのおかげで二人は付き合うことになったわけだし? むしろ、感謝しろよな?」

悪びれもせずに、健がえっへんと胸を張る。そのあまりにポジティブすぎる言い分に、私たちは顔を見合わせて一斉に笑い声を上げた。

澄み渡る冬の空に、私たちの幸せな笑い声が、高く、高く、響き渡っていった。
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