私の愛すべき人~その別れに、愛を添えて~
ひとしきり笑い終えた後、それまで黙って腕を組んでいた一ノ瀬が、すっと立ち上がった。
「悪い。俺らこれからデートだからそろそろ」
そう言って彼は、まだ座っている私の手を当然のように掴んで引き寄せる。
「いこう、凛」
「うん! ごめんね、二人とも」
幸せを隠しきれない顔で断りを入れると、すかさず菜穂と健から、盛大な野次が飛んでくる。
「はぁ!? ちょっと、何よそれ! ていうか、一ノ瀬! あんた、なにその激甘な顔! 全然キャラじゃねーぞー!」
「ほんとそれな! ていうか、俺らも連れてけよ!」
「うるせえ」「やだね」と、一ノ瀬と声を揃えて悪態をつく。その絶妙なタイミングの良さに、また顔を見合わせ笑った。