私の愛すべき人~その別れに、愛を添えて~
「急じゃないし。ずっと褒めてるし。それに褒めろって言ったの凛じゃん」
「それは……そうだけど」
「今みたいに驚いた顔も、可愛らしいなと」

彼は真顔でそう言い放ち、私の羞恥心を煽る。私の顔は、きっと茹でダコのように真っ赤になっているだろう。

「涼介って、ちょっと意地悪だよね」

私が不満げに言うと、彼は満足そうに目を細めた。

「これも凛への愛情表現」

その言葉に、私の心臓はまたしても大きく跳ねた。

彼の「意地悪」は、私への好意の裏返しなのだと、頭では理解しているのに、毎回まんまと彼のペースに巻き込まれてしまう。だけどそれも心地いい。彼の隣が温かて大好き。

「凛、これ、食べてみるか? 新メニューだって。日本酒に合うらしい」  

涼介が、注文したばかりの炙り〆鯖を私の小皿に取り分けてくれる。

「ありがとう! じゃあ、一口……んー、美味しい!」

そう言いながら口に運んだ時、ふと、店の入り口から賑やかな声が聞こえてきた。

何気なくそちらに目を向けると、そこには、菜穂、一ノ瀬、唯、そして菜穂の幼馴染の健の姿があった。

しまった、この店、菜穂たちもいきつけだったんだ。まさか鉢合わせするなんて……。

三人は空いているテーブル席を探しているようだったが、すぐに私と涼介の存在に気づいた。

「あ、凛じゃん!」

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