君のとなりで、恋をする
「俺さ、翠ちゃんと一緒に勉強できて、ほんとに嬉しい」


その言葉に、翠は少し驚いた表情を見せ、やがて切ない笑顔を浮かべた。


「……優しいね、大和くんって」


胸に刺さるその一言。

大和は気づいた。


(今の笑顔……俺に向けられたものじゃない。俺への想いじゃなくて、ただ“優しさ”に対する返事だ)


大和は笑顔のまま、ほんの少しだけ視線を落とした。

喉まで出かかった言葉は、グラスの氷に当たる微かな音に紛れて消える。

彼はペンを持ち直し、静かに頷いた。


──ノートに向かう二人。


数式は進むのに、互いの心に残った感情は解けないままだった。


──




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