君のとなりで、恋をする
(――だからもう、大丈夫)


そう自分に言い聞かせながら、胸の奥にあった痛みを、静かに抱きしめた。

俺がどんなに隣にいても、翠ちゃんの視線はあの人を追ってる。

それでも、今だけは。

この小さな幸せを、手放したくなかった。

中庭に吹く風が、二人のあいだを静かに通り抜けていく。

陽の光が揺れて、彼女の髪を照らした。

その瞬間、もう少しだけ――この時間が続いてほしいと願った。

届かなくてもいい。

ただ、彼女が笑っていられるなら。

それだけで十分だった。


――



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