君のとなりで、恋をする
「わあ! 私も欲しい〜」


横から萌が顔を出した。

いつもの笑顔の角度、いつものトーン。

けれど袋の中は空だった。


「ごめん、中川さん。もうない」


先輩はそう言って、ポケットに手を突っ込み、ゆっくりとコート脇を歩き出す。

その背中はまっすぐで、夕陽の色を引きずりながら遠ざかっていく。

冷たく見えるのに、私の胸の内側には小さな温かさだけが残った。

指先には、さっきの距離感がまだ残像のように痺れている。





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