君のとなりで、恋をする

6話 昼休みの交差点

──昼休みの食堂。


ざわめく声と食器がぶつかる音が四方から押し寄せる。

揚げ物の匂いが空気に混じり、熱気でむっとした空間に人の波が絶え間なく流れていた。

トレーを抱えたまま、私は立ち尽くす。


(……どこに座ろう)


空席を見つけたいのに、知らない人の群れに飛び込む勇気が出ない。

周りの視線が全部自分に向いている気がして、足が動かなくなってしまう。


「おーい、翠ちゃん!」


元気いっぱいの声が、ざわめきの中から浮かび上がった。

声の方に振り返ると、大和くんが大きく手を振っている。

彼の隣の席だけぽっかり空いていて、まるで最初から私のために残しておいたみたいに見えた。


「え、ありがとう……」

「翠ちゃん、すぐ困った顔すんじゃん? 俺が確保しといてやったんだぞ~」


にかっと笑う大和くんの顔は、体育館でボールを追っているときと同じくらいまぶしい。

その明るさに救われるようで、胸の奥がじんわりと温かくなる。





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