君のとなりで、恋をする
──放課後。


昇降口を出ると、大和くんが待っていた。


「翠ちゃん! 一緒に帰ろ」


いつもより少し強い声音と、まっすぐな目。

私は少し戸惑いながらも、頷いた。


「うん……」


靴箱のあたりでひそひそ声が聞こえたけれど、聞こえないふりをして外に出る。


──夕暮れの道。


校門を抜けると、空はオレンジ色に染まり始めていた。

並んで歩くアスファルトに、二人分の影が長く伸びる。


「なあ、翠ちゃん」

「なに?」


呼ばれて振り向くと、大和くんは足を止めていた。


「俺、本気だから」


立ち止まった大和くんの声は、まっすぐで揺るがなかった。

赤く染まる夕日の中で、彼の影が長く伸びている。

その真剣さに射抜かれて、私は息をのんだ。


「今すぐ答えろとは言わない。でも覚えてて。俺は絶対、翠を振り向かせる」

「や、やめてよ……そういうの……」


照れ隠しのように言いながらも、心臓は乱れていた。

からかいじゃないことはわかる。

笑って受け流そうとしたけれど、大和くんの瞳が真っ直ぐすぎて、言葉が詰まる。


「冗談じゃねーから」


そう言い切る声は、いつもより低く、胸に重く響いた。






< 68 / 140 >

この作品をシェア

pagetop