君のとなりで、恋をする
けれど次の瞬間、腕を軽く掴まれた。

近すぎる距離で視線が絡む。

呼吸が止まり、胸の奥で鼓動だけが暴れる。


「それに、手。かばってただろ」


視線は私の右手に向けられていた。

思わず指先をぎゅっと握りしめる。

見抜かれていたことに、心臓が跳ねる。


「……無理すんなよ」


結城先輩はほんの一瞬だけ、口元を緩めた。

普段の余裕ある笑みとは違う。

柔らかく、愛おしそうに見える眼差し。


「困ったときは、俺にだけ言えよ」


短い言葉なのに、胸に深く突き刺さった。

そっと離れた腕の感触と、残された熱が消えない。


(な、なに言って……。どうして私に……)

(心臓が……壊れそう……)


結城先輩はにやりと笑い、振り返らずに歩き去っていった。

その背中を追うことさえできず、私は体の奥で鳴りやまない鼓動に立ち尽くした。








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