君のとなりで、恋をする
──夜の駅ホーム。


電車を待つ時間。

結城先輩と並んで立っているだけで、心臓が騒ぐ。


「めっちゃ集中して勉強してたな」


ふいに低い声。


「えっ……?」


思わず顔を上げる。


「ノート。めちゃ真剣に書いてただろ。
……ちょっとはこっちも見ろよなって思ってた」


さらっと言うその声音に、胸がきゅっとなる。


「み、見てたんですか!? そ、そんな……!」


赤面して慌てる私を見て、口元だけで笑う。


「当たり前だろ。……俺、お前しか見てねぇし」


── 一瞬、空気が止まった。


ホームにいた生徒たちが思わず振り返るほどの爆弾。

私は言葉を失い、ただ顔を覆うようにうつむく。


「……な、なに言って……!」


声が裏返った。


「事実言っただけ」


余裕の笑み。その視線は逸らさず、まっすぐに。

電車のライトが近づく音が響く中、胸の鼓動はもう、どうにもならなかった。





____


< 90 / 140 >

この作品をシェア

pagetop