続・幼なじみの不器用な愛し方
「わたしのこと大好きじゃん」


いつもの軽口から会話が始まる。

宮水の声を近くに聞きながら、川の水が流れていく様子をぼんやりと眺める。

ツガイだろうか、空の高いところでは2羽の鳶が心地よさそうに飛んでいた。


『予定日、11月だったよね? 名前はもう決めたの?』

「まだなんだよね。そろそろ候補くらいは挙げていかないとと思ってるんだけど……」

『わたしが名前つけてあげよっか』

「あはは。候補あるの?」


多くを奏でると書いて、カナタ。もしくは、琉球のりゅうに、生きるでルイ。もしくは……と、宮水が言うのを途中で遮る。


「だめだよ。それ、あんたが好きなバンドメンバーの名前じゃん」

『あは、バレた?』


バレるに決まっている。

誰もが一度は耳にしたことのあるようなヒット曲を出し続けている、国民的バンド。

更に言えば、有斗とも関わりが深い人達だ。

直接は知らないけれど、有斗の口から名前を聞くことも一度や二度ではなかった。


「却下。もっと頭を捻ってください。キラキラじゃなくて、秋山って名字にも合って、かっこいい名前」

『注文多くない?』


あれやこれやと言い合って、名付けって難しいね、というところに落ち着く。
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