続・幼なじみの不器用な愛し方
「うん、河原にいるよ。雑音聞こえる?」

『ううん、雑音は大丈夫なんだけど。救急車の音がやけに近く聞こえたから』


あぁ、なるほど。

確かに今、すぐ傍の通りを救急車が走っていった。

あそこまで大きな音は、スピーカーにしていなくてもマイクが拾ってしまうらしい。


「今日は大家さんの都合でお店の手伝いがなしになったから、どら焼き便になることにしたの。今はその休憩中」

『どら焼き便? 何それ』


電話の向こうで、宮水がおかしそうに笑う。

30分ほどとりとめのない話をして、電話を切った。


「はぁ。笑ったなー……」


顔を上げると、小学生くらいの子ども達が飛び石のところで遊んでいるのが見えた。

小さな子を連れた家族、老人、大学生らしきカップル。

河原には様々な人がいて、みんなそれぞれ無関心に、この穏やかな景観に身を投じている。

ゆっくりとベンチから立ち上がり大きく息を吸い込むと、新鮮な空気が全身を巡った。


まめちゃんが生まれたら頻度は少なくなるけれど、気分転換に来たいなぁ。

そんなことを思いながら、遊歩道を歩き始めた。

ふわりと柔らかな風が吹いて、頭上で葉擦れの音がする。


土手と道路とを繋ぐスロープを上りかけた、その時。
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