続・幼なじみの不器用な愛し方
「──美月……?」


風に乗って届いた、わたしを呼ぶ声。

それは──ついこの間まで傍で聞いていたようにも懐かしくも感じる、切なさと愛おしさを孕んだ耳触りのいい低音で。


息が止まった。

嘘だ。幻聴だ。

そう思うのに、確信がある。

わたしがこの声を、聞き間違えるはずがない。


風に舞い視界を遮っている髪を掻き分け、声のしたスロープの先に視線を向けた。


──どうして。


「ある……と……」


数メートル先のスロープの上で、これでもかと目を見開いてわたしを見下ろしている彼を、わたしもまた似たような顔で見ているのだろう。

もう二度と会うことはないと思っていたその人が、目の前にいた。


「……っ」


どれくらいそうしていただろう。

時が止まったかのように呆然と見つめ合い、はっとして慌てて踵を返す。

大きいお腹を顧みず、大股で元来た道を戻る。


なんで。なんでなんでなんで。

どうして、有斗がここにいるの!?


「っ、美月……!」


再び名前を呼ばれた瞬間、駆け足でわたしを追い越した有斗が目の前に立ちはだかった。


あぁ……有斗だ。

深く被ったバケットハットとマスクで、顔の大部分は見えないけれど。

繕うことの出来ない綺麗な鼻筋。遠目にでもわかる、一般人離れしたスタイル。
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