続・幼なじみの不器用な愛し方
ごめんね。こんな会話、聞きたくなかったよね。


「忘れていい。気付かなかったことにしてくれていい。誰にも言ってないし、誰に言うつもりもないから」


わたし達の道はあの時違えた。

それでいいはずだ。この痛みにも、次第に慣れる。

無理矢理に笑顔を繕ったわたしを前にして、有斗は端正な顔を悲しく歪めた。


「何言ってんだよ。忘れていいってなんだよ。バカにすんじゃねーよ」

「べつに、バカになんて……」

「してる。俺の意見はフル無視で、勝手なことばっかり言うな」


傷ついているとありありと書かれた顔で、それでも真正面からわたしに向き合ってくる。


「美月の中に気持ちがなくなったってんなら、少しは納得も出来る。少しはな。

けど、違うだろ?

俺のことがどうだっていいなら、失くしたはずのその指輪を、今も身に着けてたりなんてしないはずだ」


有斗の目がわたしの首元に輝く指輪を捉える。

指摘され慌てて指輪を握り締めて隠すと、ひやりとした確かな感触を掌の中に感じた。

有斗と過ごした7年が、25年が、わたしの中に走馬灯のように流れ込んでくる。


「結婚しようって言った時、その子の存在を知らなかった俺の覚悟の中に、その子は含まれてなかった。

だからあの時美月は言えなくて……俺の立場を考えて、1人で産む選択をしたんだろ」
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