続・幼なじみの不器用な愛し方
「仕事で金曜までパリにいて、帰国後すぐにこっちに来た。議員の情報を頼りに大体の範囲を絞って、ひたすら美月のこと探してた。

美月ママと俊哉くんには、俺が絶対に見つけてくるって言って残ってもらった。どうしても、俺の手で見つけたかったから」


流麗に語っていた有斗の声が熱を帯びる。

真っ直ぐな眼差しに囚われて、逃げ出すことが出来ない。


だから、怖かったの。

真正面から向き合ってしまえば、そこから抜け出す術をわたしは知らないから。


「なぁ、美月。おまえがいきなり別れようなんて言ったのは、その子の父親が俺で、俺と子どもの両方を守ろうとしたからじゃないのか……?」


それは祈りにも似た問いかけだった。

わたしの鼓膜を、切なく震わせる。


そうだよ。

この子の父親は、他でもないあなただよ。

この子は、紛れもなくあなたの子だよ。


有斗の推測は何一つ間違ってなんかない。

でも、全てを打ち明けるには、勇気も覚悟も、何もかもが足りない。

想像もしないような重圧をあなたに背負わせないために、まめちゃんの人生をわたし1人で背負うと決めた。

だからあの時、別れることを選んだんだ。


「この子は、わたしの子ども。ここで、責任を持って、わたしが1人で育てていくの」


お腹に手を当ててそう言えば、中でまめちゃんがもぞもぞと動き始めた。

外の音が聞こえているまめちゃん。どんな気持ちで、わたし達の会話を聞いているのだろう。
< 168 / 192 >

この作品をシェア

pagetop