続・幼なじみの不器用な愛し方
「もう。からかわないでください」


むくれたわたしを見て、石田さんがシャム猫のように愉快に笑った。


「居場所、秋山さんが教えたわけちゃうやろ? 探し当てられたん?」

「……そんなところです」

「店に来た時の秋山さん、めちゃくちゃ硬い表情してたもんなぁ」


わたしってば、そんなに酷い顔だったんだ……。

両手で頬を緩める仕草を見せたわたしに、壁に体をもたれさせた石田さんが軽い口調で訊ねてくる。


「戻るん?」


遠慮会釈もない質問にわたしは素直に眉を寄せ、口を開いた。


「彼は、戻ってきてほしいと思ってるみたいです」

「秋山さんは?」

「……わからない」


あの時、自分の中で結論を出したという事実と、そうなるに至った理由が、流れた月日の分重さを増して足枷になっている。

有斗はああ言ってくれたけれど、わたし達だけで決められる話でもないし、振り払いこそしていないものの彼の手を取ることはしなかった。


「まぁ……秋山さんも、色々考えて選択したわけやしな。混乱してるやろうし、簡単じゃないよな」


まずい。労わるような声色が、わたしの緊張を解いてしまう。

わたしの行動を『アホやな』って一蹴して、だけど誰よりも寄り添ってくれた人だから。
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