続・幼なじみの不器用な愛し方
「うん」

「でも、現実的なことを考えると、俺が1人ででも提出しに行くのがいいと思う」


ベッドの上に力なく伸びるわたしの手を、有斗の大きな掌が包み込む。


「今の俺は法的には何の権限もなくて、美月やまめに万が一何かあっても、何もしてやれない」

「……うん、そうだね。わたしも、それが一番いいと思う」


有斗の提案に、何の異論もない。

ここからは感情論じゃなくて、冷静に状況判断をしないと。


「しばらく安静にして、退院や転院は状況次第だって言ってたよね。確定的なことは言えないって」

「あぁ」

「となると、有斗は予定通り明日東京に帰るのがいいね。仕事に穴はあけられないだろうし、わたしが動けない間に婚姻届の提出とかお願いしたい」


さっきまでの勢いはどこへやら、有斗は眉間に皺を寄せて何も言わない。

わかってる。こんな状態のわたしを残して帰るということに、素直に頷けないんだろう。


「強い言い方するけど、こっちにいたって有斗が出来ることなんて何もないよ」

「図星だけどまじで容赦ねーな」

「必要な時に傍にいられるよう、ちゃんと仕事こなしてきて。何かあったらすぐに言うから、その時はすぐに駆けつけて」

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